RISE移行と2025アップグレード 〜AIと自動化でSAP戦略を現実解にするPanaya〜

五十嵐 英祐
SAP ECC6.0の保守期限(SAP 2027年問題)が迫るなか、いよいよ企業は本格的にS/4HANAへの移行を避けて通れなくなっています。
特に2025年リリースのS/4HANAは7年間の長期サポートが保証されることから、安心して採用できるバージョンとされています。
この「2025リリース」の登場を境に、2026年以降はまさに「S/4HANA移行・アップグレードラッシュ」と呼ばれる局面が訪れるでしょう。
しかし、理想的に描かれるSAPの移行戦略と、実際の現場が抱える課題との間には大きなギャップが存在します。
本記事では、そのギャップをどのように解消し、AIと自動化を活用して“現実解”に変えていけるのか、Panayaが提供するソリューションを中心に解説します。
図1:2026年はRISE移行ラッシュの始まり
2026年に向けたSAP戦略の全体像
SAPは「RISE with SAP」を軸に、クラウドシフトとビジネス変革の推進を掲げています。
さらに「AI First, Suite First」というキーメッセージを前面に出し、すべての企業が標準機能を基盤としつつ、俊敏かつ持続可能な改善を実現できるように設計しています。
RISEの文脈に含まれる「クリーンコア」という思想は、アドオンやカスタマイズを最小限に抑え、差別化が必要な領域は拡張プラットフォーム(BTPやABAP Cloud)で実装するという明快な方針です。
また「統合ツールチェーン」では、移行~運用までを一気通貫で標準化し、効率化を目指すという戦略です。これにより、将来的なアップグレードや新機能の取り込みを容易にし、長期的なコスト削減と俊敏性を両立できます。
理想と現実のギャップ
しかし、多くの日本企業が直面しているのは理想通りのクリーンコア実現ではなく、膨大な過去資産に縛られた“現実”です。
ブラックボックス化したアドオン
10年以上積み重ねられたアドオンの必要性や利用実態が不明確で、情シス部門や保守ベンダーでも把握できないケースが少なくありません。
SAP純正ツールの限界
SAPを最新バージョンへ移行する際の影響を分析するReadiness Checkは精度不足が顕在化しており、その他のツールも習得難度が高いものが多く、移行を加速するどころか現場に新たな負担を与える場合もあります。
従来型のプロジェクトアプローチ(人海戦術・属人化)
プロジェクトを計画から実行まで全てSI任せ(いわゆる“丸投げ”)にすることで、透明性の欠如やナレッジ蓄積ができないなどの問題が顕在化します。長年保守を担当しているSIベンダーも新しいツール導入に対して慎重過ぎたり、過剰な品質・精度を追求する傾向にあるため、結果属人化やリソース依存のアプローチから脱却できないままとなっています。
Panayaが提供する“現実解”
こうしたギャップを埋めるために登場するのが、PanayaのAIと自動化を駆使したプラットフォームです。
Panayaは2006年の創業以来、SAP移行・アップグレードプロジェクトに特化した独自の分析エンジンとテストソリューションを進化させてきました。
図2:Panayaが変革するSAP移行・アップグレードプロジェクト
1. 高精度な影響分析
クラウド上でわずか48時間以内に移行プロジェクトの影響範囲を解析。属人化されていた分析・レポーティング作業を大幅に短縮します。分析は精度と網羅性を担保し、プロジェクトの計画精度を飛躍的に高めます。
図3:プロジェクト計画精度を向上させるPanaya影響分析
SAP標準ツールとの補完関係
SAPが提供するSimplification Item CheckやATC(ABAP Test Cockpit)は、標準の移行影響分析ツールとして一定の役割を果たしています。
しかし実際には「分析範囲が十分ではない」「解釈のためのスキルが必要」などの課題が多く、現場の負担は依然として大きいのが現状です。
Panayaはこれらの標準ツールを「否定する」のではなく「補完する」アプローチを取ります。SAP標準ツールのアウトプットを基盤にしつつ、Panaya独自のAI分析エンジンで不足部分を埋め、プロジェクトタスクに直結する具体的なアクションアイテムを提示します。
つまり、標準ツールで得られる情報を最大限に活用しながら、実務に耐えうる粒度に落とし込むことで、計画の実効性を大幅に高めているのです。
図4:Panaya約20年の知見と独自の分析エンジンによりSAP標準ツールを補完
2. 自動コード修正(Intelligent Code Remediation)
非互換ABAPコードの改修作業を30〜80%自動化。冗長なコードや未使用アドオンをクレンジングし、SAPの「クリーンコア」方針に沿った改修提案も行い、理想の状態へと段階的に移行させます。
図5:“クリーンコア”を実現するPanayaクレンジング・自動コード修正機能
3. スマートテストプラットフォーム・テスト自動化ソリューション
テスト計画、テスト証跡、進捗ダッシュボード、そしてテスト自動化をワンストップで提供。テスト工程全体の透明性を確保し、テストナレッジを確実に蓄積させます。
図5:Panayaテストツールによるテスト工程の透明性確保とナレッジ蓄積
Tricentisとの比較
SAP推奨の統合ツールチェーンに含まれるTricentis(テスト自動化ソリューション)は高機能ですが、専門人材の確保が前提となるためコストやリソース面でハードルが高いのが実情です。
一方でPanayaは「誰でも使える」シンプルさと、長期的なコスト効率を重視した設計になっており、移行ラッシュ期においてより実効性の高い選択肢と言えます。
図7:PoC事例によるTricentisとの比較
成功事例:大和ハウス工業様の大規模移行プロジェクト
Panayaの強みを象徴する代表的な事例が、大和ハウス工業様によるS/4HANA移行です。
国内グループ40社を対象としたECCからS/4への大規模なコンバージョンを、わずか9か月という短期間で完遂。しかも、移行中にトラブルを一切発生させることなく成功させ、「SAP AWARD OF EXCELLENCE」を受賞しました。
この成功の背景には、単なるツール導入にとどまらない「現場主導の取り組み」がありました。
● 自社システムの振り返りとスリム化の推進
長年蓄積されたアドオンを徹底的に棚卸し。必要性の低い資産を整理・除去しながら、クリーンコア実現に向けた第一歩を踏み出しました。Panayaの影響分析が、このプロセスを強力に支援しました。
● ユーザー主導による積極的な自動化・効率化の推進
プロジェクト全体を「属人化からの脱却」と位置づけ、Panayaを活用した自動化を積極的に推進。テストやコード修正など、従来属人的に行われていた領域を効率化することで、短期間での実現が可能となりました。
● ユーザー・SI双方が実効性を追求した柔軟な姿勢
従来型の思考から脱却し、ユーザーとSIが共に「スピードと現実解」を重視。ツールを最大限に活用しながら、リスクを抑えつつ段階的に改革を推進しました。
結果として、事前アセスメントとPoCでの検証に裏打ちされた堅実な準備と、ユーザー・SI双方が主体的かつ柔軟に行動したことが、スピードと確実性を両立する大規模移行を可能にしたのです。
大和ハウス工業様:SAP AWARD OF EXCELLENCE公式インタビュー動画
大和ハウス工業様:導入事例
まとめ
2026年以降、SAP人材不足と移行需要のピークが重なり、対策が不十分な企業にとっては深刻なリスクとなります。
Panayaは約20年の知見とAIを活用した圧倒的な使いやすさによって「実効性とスピード」を追求した、SAP戦略を“現実解”に変える唯一のドライバーです。
この先の移行ラッシュに備える行動こそが、企業の競争力を左右する重要な一手となります。
まずはPanayaの「2週間で完了する無償トライアル」で、自社プロジェクトにどのような価値をもたらすか体感してください。
RISE移行やS/4HANA 2025へのアップグレードをご検討のお客様
<お問い合わせ・無償トライアルのお申込はこちらへ>
プロフィール

SAP業界に25年以上従事
SAPコンサルタントからコンサルティングセールスとしてERP導入・提案などに携わった後、Panayaの日本法人の立ち上げから現職
SAPに対する深い知識・経験とPanayaを活用したERPプロジェクトのデジタル変革を目指して日々お客様の支援を行っている