PanayaのAI活用がもたらす「現実の価値」〜コンセプトに留まらない、実装されたAIによる差別化〜

五十嵐 英祐(いがらし えいすけ)

はじめに

近年、あらゆる業界で「AI活用」が謳われています。しかし、その多くは「将来的に実現するビジョン」や「研究開発のコンセプト」にとどまり、実際の業務プロセスで日々価値を提供しているケースは限られています。
一方で、Panayaは約20年間にわたりERP変革支援をリードし、既にAIをコアに組み込んだ実用的なソリューションを展開しています。本記事では、PanayaのAI活用の全貌と、その独自の差別化ポイントをご紹介します。

PanayaにおけるAI活用の歴史と思想

 
内製AI(Panaya Analytic Engine)
Panayaは創業以来、SAPやOracleといったERPのアップグレード・マイグレーションに伴うリスクを予測する独自アルゴリズムを開発してきました。その中核を担うのPanaya Analytic Engineです。
ここでは長年培われたAI/機械学習(ML)が稼働し、提案された修正内容やアップグレード計画に潜むリスクを自動で特定します。解析結果(影響分析、修正タスク、単体テストなど)はすべて顧客環境に閉じた形で処理され、セキュアに提供されます。
 
外部AIとの連携
さらに近年は、OpenAIやAmazon AIといった外部AIエンジンも柔軟に取り込み、生成AIによる要約や解説を提供。重要なのは顧客データがAIエンジンに残らない仕組みであり、リアルタイム分析にのみ利用されます。ユーザー側でワンクリックで利用停止できる点も安心材料です。
 
 

現実に提供しているAI機能

以下にご紹介する機能は、何れも「将来的なコンセプト」のお話ではなく、「既にPanayaに実装済み」のものとなります。
 
 1. SAPノート解析の自動化
SAPノートは数十〜数百ページに及ぶ複雑な技術文書で、例えば新しいバージョンにアップグレードを行う場合には、SAPエキスパートがかなりの工数をかけて関連ノートを調査して絞り込み、その内容を読み込んで実際にやるべきタスクに落とし込む、、、といった作業が必要でした。PanayaではこれをAIが関連ノートに絞り込むだけでなく、要約・ステップごとに実行手順化することで、プロジェクト担当者は最小限の時間で影響範囲と具体的なアクションを把握できます。結果、導入スピードが飛躍的に向上し、リスクも削減されます。

 

Simplification Item の内容を要約し具体的なアクションアイテムを提示

 

2. AIアシストによる不具合管理
AIはテストや不具合管理においても大きな役割を果たします。
 
– 要約機能:タイトル、説明、担当者、進捗を自動で要約
– 画像解析:不具合スクリーンショットを分析し、説明を自動生成
– 履歴・コメント要約:誰が何を指摘し、どう対応されたかを一目で理解可能
 

これによりテスト担当者はノイズに埋もれることなく、「本当に対応すべき重要な不具合」に集中できます。

 

不具合の内容を自動的に要約


 
3. テスト自動化のAI強化
Panayaのテスト自動化ソリューションは「AIによる自己修復機能(Self-Healing)」を備えています。

 

– 動的ロケータ生成により、UI変更にも柔軟に追随
– 自動説明・命名(Smart Fill)でスクリプトの可読性を向上
– 自然言語プロンプトで検証やデータ生成を自動化
 
従来の自動化ツールでは不可避だった「スクリプト維持コスト」を大幅に削減し、自動化のROIを根本から変える差別化ポイントとなっています。

 

画面レイアウト変更を自動検知してスクリプトを自己修復

 


 
4. 会話型テスト自動化と生成AI
「AIに話しかけるだけ」で操作の実行、テストデータ生成やテスト結果の自動判定(バリデーション)が可能です。
例えば「請求書番号をランダムに生成してテスト」や「PDFから顧客名を抽出」など、従来プログラミングが必要だった操作を自然言語の指示で実現できます。
その他にも、専門的なスキルを伴うタスク(XPathの編集やJavaスクリプトの作成など)についても「AIに話しかけるだけ」で実現可能です。

 

ディスカウント率を画面からキャプチャしてテスト結果を自動判定

請求書番号をランダムに生成してテストする

 

5. ユーザー支援(Seemore Copilot)
AIはプロジェクト管理や製品利用のナビゲーションにも活用されています。
「このテストサイクルの進捗は?」「次に優先すべき修正は?」と尋ねるだけで、会話型でリアルタイムに回答可能です。ERPプロジェクトの現場で、AIがバーチャルアシスタントとして伴走します。
 

Seemore Copilot: 製品利用方法やプロジェクト進捗を即時回答


 
 

他社との差別化ポイント

 

市場には多くのテスト自動化/ERP支援ツールが存在します。しかしPanayaが他社と一線を画すのは、以下の点です。
 
1.  単なるコンセプトではなく実装済みのAI
AIを「将来のビジョン」として語るのではなく、既に日常業務に溶け込んだ形で提供している。
 
2.  ERPプロジェクト特化型AI
汎用的な生成AIではなく、約20年間のERP知見に基づいたアルゴリズム+ドメイン特化した生成AI機能を持つ。
 
3.  セキュアなデータ設計
外部AIを使う場合でも、顧客データは永続保存されない仕組み。プライバシーとセキュリティが担保されている。
 
4.  継続的な進化
フィードバックループを通じ、AI機能は利用者の声を取り入れて改善され続けている。

まとめ

「AI活用」は今や誰もが口にする言葉ですが、ERPプロジェクトの現場において、これほど実装レベルでAIを組み込んだソリューションは、現状Panaya以外ではほとんど見られません。

単なるキャッチフレーズではなく、現場で確実な成果を生み出す「実装された武器」です。その価値を、まずは無償トライアルで体験してください。
 
 

 
技術的な詳細情報はPanaya Success Centerにて公開しています。

プロフィール

五十嵐 英祐(いがらし えいすけ)
Panaya Japan 営業本部長

SAP業界に25年以上従事

SAPコンサルタントからコンサルティングセールスとしてERP導入・提案などに携わった後、Panayaの日本法人の立ち上げから現職

SAPに対する深い知識・経験とPanayaを活用したERPプロジェクトのデジタル変革を目指して日々お客様の支援を行っている

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