GROW with SAPが切り拓くクラウドERP導入戦略とPanayaの価値

五十嵐 英祐(いがらし えいすけ)

はじめに

SAPのクラウド移行戦略は、ここ数年で大きく進化しています。その中核を担うのが 「RISE with SAP」 と 「GROW with SAP」。特にGROWは、これからSAPを導入する新規顧客(Net New Customers)やmid-market(中堅企業) を対象としたプログラムとして注目を集めています。
 
本記事では、GROW with SAPの価値と背景、市場における位置づけ、そしてクラウド導入に伴う課題を整理し、Panayaがどのようにその課題を解決するかをご紹介します。

GROW with SAPとは?

「GROW with SAP」は、新規にSAPを導入する企業、特に中堅企業を中心に設計されたクラウドERP導入パッケージです。

 
その特徴は以下の通りです。
 
短期間での導入:業界ベストプラクティスを活用し、短期間で稼働可能
標準化されたプロセス:カスタマイズを最小限に抑え、迅速かつ低リスクで導入
クラウド前提の拡張性:SAP BTPを通じたローコード開発・追加機能の容易な実装
サブスクリプション型コストモデル:中堅企業でも予測可能なTCOで利用可能

 
言い換えれば、GROWは「初めてSAPを導入する企業のためのクラウドERPエントリーモデル」です。
 
 

SAPがGROWを推進する背景

SAPがGROWを強力に推進する理由は明確です。
 
1. Net New Customers(新規顧客)の開拓
新規顧客の獲得は不可欠であり、既存顧客のECCからS/4HANAへの移行だけでは、市場成長は頭打ちになります。
 
2. 中堅・中小企業市場の拡大
デジタル化ニーズが高まっている一方で、大規模プロジェクトのような長期導入は困難。GROWはこの市場に最適なアプローチです。
 
3. クラウドKPIの達成
SAPはアナリスト向けにクラウド収益や新規ライセンス数を重要な指標として提示しており、GROWはそのドライバーです。
 
 

クラウドERPに潜む課題:年2回のアップグレード

GROW with SAP ( = S/4HANA Cloud, Public Edition) の特徴として、年2回の大規模アップグレード(2月と8月)が行われます。
 
メリット:最新機能・法制度対応・セキュリティ強化が自動反映されるため、企業は常に最新のERP環境でビジネスを推進でき、コンプライアンスリスクも軽減することができます。
 
課題:しかし一方で新機能の追加・変更の影響を確認するため、毎度回帰テストが必要となります。アップグレード後の顧客固有の環境依存によるビジネスへの影響確認作業は欠かせないものとなります。
 

結果として、新規導入企業にとって「アップグレード対応のテスト負荷」は無視できない課題となります。
 
 

Panayaのソリューションが解決するテスト課題

ここで重要な役割を果たすのが、Panayaのテストソリューションです。
 
単一プラットフォームで完結
Panayaはテスト管理・障害管理・自動化・影響分析を単一のプラットフォームで統合しています。多くの他社製品が複数製品を組み合わせて利用する必要があるのに対し、Panayaはワンプラットフォームで一貫した体験を提供し、複雑さと手間を排除します。
 
ビジネスユーザーでも使える簡便さ
Panayaはノーコード/直感的なUIを備えており、業務部門ユーザーでも初日から利用可能です。結果として、エンジニア不足に悩む企業でも導入が容易です。
 
AIによる最適化
PanayaはAIを活用し、操作記録ベースだけでなく自然言語からスクリプトを作成可能。さらにセルフヒーリング機能によりアプリケーションの状態を自動判定し、スクリプトを自動メンテナンスします。特殊なスキルを持ったエンジニアがスクリプトを開発・維持する負担を大幅に削減することが可能です。さらに、SAP Best Practiceをベースとした自動スクリプトライブラリも近日提供予定です。
 
カスタマーサクセス体制
Panayaは専任のCSM(カスタマーサクセスマネージャ)を配置し、専門コンサルタントに極力依存せず、顧客が自走できるよう支援します。結果として「導入したが使いこなせない」というリスクを回避できます。
 

このようにPanayaは、クラウドERP時代に不可欠な「アップグレード対応テスト」を誰でも扱える形で効率化・自動化し、コストとリスクを同時に削減します。これは単なるツールの導入ではなく、クラウド運用を持続可能にするための基盤づくりといえるでしょう。
 
 

Tricentisとの違い

SAPはテストツールとしてTricentis社の製品をOEMで提供しています。確かにTricentisは機能が豊富で、幅広い自動化シナリオに対応できる強力なテストツールです。しかし、その一方で「扱える人材が限られる」「維持コストが膨大」という課題を抱えています。
 
以下に、TricentisとPanayaの違いを簡単に整理しました。

 

 

結論として、Tricentisは「強力だが専門人材依存型」のツールであるのに対し、Panayaは「誰でも簡単に扱え、長期的にコスト効率が高い」ソリューションです。クラウドERP時代、特にGROW with SAPにおいて、より実用的で持続可能な選択肢といえるでしょう。

 

まとめ

PanayaはERPクラウド運用を持続可能にするための基盤

 GROW with SAP は、中堅企業と新規顧客に向けたSAPのクラウドERP導入モデル
 市場背景:新規顧客獲得とクラウド収益拡大のための戦略的施策
 課題:年2回の大規模アップグレードによるテスト負荷
 Panayaの価値:AI搭載自動テストで負荷を大幅に軽減し、安心の継続利用を実現
 競合比較:Tricentisは機能豊富だが人材依存と維持コストが高い一方、Panayaは誰でも扱えて持続的に優位
 

GROW with SAPが開く新しいERP導入の道を、Panayaが確実に成功へ導きます。
 

無償アセスメント・簡易PoCなども承っております。ぜひお気軽にお問い合わせください。
 

 

プロフィール

五十嵐 英祐(いがらし えいすけ)
Panaya Japan 営業本部長

SAP業界に25年以上従事

SAPコンサルタントからコンサルティングセールスとしてERP導入・提案などに携わった後、Panayaの日本法人の立ち上げから現職

SAPに対する深い知識・経験とPanayaを活用したERPプロジェクトのデジタル変革を目指して日々お客様の支援を行っている

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